筑波大学整形外科の上肢機能外科グループを紹介しております。スポーツ医学・機能再建を中心とした幅広い研究を行っています。

診療グループ

上肢機能外科

筑波大学整形外科・上肢機能再建外科グループは日本を代表する手外科・末梢神経外科医である落合直之名誉教授に育てられた多くの手外科専門医で構成されています。
手外科・肘外科・末梢神経外科領域の治療と研究に取り組んでいます。連携施設と協力・切磋琢磨しながら、より良い機能再獲得を目指しています。

【末梢神経外科】
腕神経叢損傷、四肢末梢神経断裂・欠損、麻痺後の上肢機能再建から手根管症候群・肘部管症候群などの絞扼神経障害まで、あらゆる末梢神経障害の治療と研究に取り組んでいます。
専門的な検査に基づいた診断へのこだわりと鍛錬した末梢神経外科技術により、他施設では治療のできない末梢神経外科手術も行っております。

≪腕神経叢損傷≫
当科では損傷部位と損傷程度を神経生理機能検査などを用い専門的に診断し、上肢機能の再腱を行っています。肋間神経移行による肘屈曲再建、副神経移行による肩機能再建、広背筋移行による指屈曲再建などで良好な成績を挙げています。手術後は機能の再獲得まで、リハビリテーション部と協力し、専門的な機能訓練を行っています。

≪末梢神経欠損に対する神経両断端緩徐伸長法≫
端々縫合で修復不能な末梢神経欠損に対し、ドナー神経の採取を必要としない新治療法「神経両断端緩徐伸長法」を開発しました。
従来は健康な神経を犠牲にして神経欠損部に遊離神経移植を行うのが一般的でしたが、本法はこの遊離神経移植より良好な神経再生を得ることができます。
UMIN-CTR

≪前骨間・後骨間神経麻痺≫
原因不明・難治性の末梢神経障害の治療を行っています。前骨間・後骨間神経麻痺もその一つで肘周囲の激痛の後、手指の運動麻痺が生じる病態不明の疾患です。当院では専門学会および厚生労働省の支援の下、専門的治療・病態解明に取り組んでいます。詳しくは下記のHPをご参照下さい。
inPS-JAPANのホームページ

≪肘部管症候群に対する肘部管形成術≫
変形性肘関節症やスポーツによる肘部管での尺骨神経障害に対し、その病態に合わせ手術法を選択しています。肘部管形成術もその一つで、良好な成績を挙げています。
http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/cubital_tunnel_syndrome.html

≪手根管症候群≫
手根管症候群に対する手根管開放術や母指対立再建術を日帰り手術で行っております。当院では神経生理機能検査に基づいて手術適応を的確に判断しています。
http://www.joa.or.jp/jp/public/sick/pdf/jssh_001.pdf

【手外科・肘関節外科】
上肢の外傷・障害に対し、専門的治療を行っています。

≪骨折後偽関節・変形治癒 ≫
骨折後偽関節に対する偽関節手術、変形矯正などを行っています。

≪腱の再腱≫
外傷後やリウマチ性の伸筋腱・屈筋腱の陳旧性損傷に対し、腱移行・腱移植術を行っています。
腱移行による麻痺手再建も積極的に行っています。
ハンドセラピストによる専門的リハビリにより良好な成績を挙げています。

≪リウマチ外科 ≫
関節リウマチにより生じる様々な上肢の機能障害に対する外科的治療を行っています。手関節・肘関節・腱周囲の滑膜切除術、手関節形成術・固定術、人工肘関節および人工指関節置換術、 手指の変形矯正などを行っています。手術のみならず、装具や自助具の提案・リハビリにより、患者様のニーズに合わせた治療を選択しています。関節リウマチは女性に多い疾患です。手の変形は女性にとって日常生活、社会生活において大きな問題になります。人前に手を出したくないという思いを抱かれている患者さんも多くいらっしゃいます。患者さんと一緒に人前でも使える手を取り戻すべく、機能だけでなく整容も重視した再建を心がけています。

関節リウマチ患者さんの1例     リウマチ指変形に対する様々な装具療法

≪肘関節外科 ≫
離断性骨軟骨炎に対する肋軟骨移植や骨釘移植、変形性肘関節症に対する肘関節形成術、肘周囲骨折および骨折後偽関節・変形治癒の治療を行っています。上腕骨外側上顆炎(テニス肘)・内側上顆炎(ゴルフ肘)に対するESWT(体外衝撃波治療)やPRP療法(多血小板血漿療法)などの最新の治療法を研究ベースで取り入れています。

≪手根骨壊死 ≫
キーンベック病など手根骨の壊死に対し、骨髄血移植・創外固定・低出力超音波(LIPUS)を用いた低侵襲治療を行っています。特に、スポーツを起因とした若年性のキーンベック病に対して骨釘を併用した骨髄血移植術を行い、良好な成績を報告しています。

 

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