小児整形
構成員
講師 鎌田浩史(小児整形外科・小児股関節)
講師 野澤大輔(足部疾患)
東京医大茨城医療センター 教授 石井朝夫
県立医療大学 竹内亮子
茨城県立こども病院 塚越祐太
大学院生 都丸洋平 中川将吾
【手術実績】
先天性股関節脱臼徒手整復術
観血的先天性股関節脱臼整復術
骨盤骨切り術(ソルター手術、寛骨臼回転骨切り術など)
大腿骨骨切り術(減捻内反骨切り術、内反骨切り術など)
内反足手術(腱移行術、軟部解離術、関節固定術、創外固定器を用いた緩徐矯正など)
大腿骨頭すべり症(In-Situ Pinning、関節鏡視下bumpectomyなど)
筋性斜頚手術(腱切り術)
小児整形・スポーツ医学
小児整形外科疾患は生涯の機能障害へと結び付く可能性があり、適切な治療を必要とします。筑波大学では近年小児整形外科を専門とする医師が増加しており、積極的に国内専門施設での研修を行うことで日本有数の施設と同レベルの治療を提供できる環境が整いつつあります。代表的な疾患として、先天性股関節脱臼、ペルテス病、先天性内反足や脳性麻痺等があげられます。更に発育期という大事な時期に発生するスポーツ障害等についてもメディカルチェック(運動器検診)をスクールトレーナーと協力して実施していく運動器疾患の早期発見、早期治療プロジェクトを進行中です。これからも小児整形外科の治療と研究をリードする存在を目指していきます。
【小児整形外科の代表疾患・研究について】
1.先天性股関節脱臼
先天性股関節脱臼は小児整形における代表的な疾患であります。先人たちの努力により新生児検診における整形外科的検査が普及し、早期発見、早期治療が徐々に浸透しました。重症例など治療に難渋する症例も数多く認められます。筑波大学では県内の医療機関と連携し、装具療法やけん引療法などの中から最適な治療法を選択し、適切な治療を行っています。近年は整復障害因子の一つである関節唇に対して、MRIにて3次元的な評価を試みています(図1)。さらに、筑波大学附属病院は国内でも数少ない術中MRIシステム手術室を有しており、術中にMRIを撮像し、脱臼整復後の即時評価を実施しています。このシステムにより正確な手術実施に結びつけています。その後の臼蓋形成不全に対しても早い時期よりMRIを導入しており、単純X線撮影のみでは判断がつかない股関節形態の三次元的評価を行っています。それに加え、関節造影などの補助検査などとともに、観血的整復、骨切りなどの手術の必要性を十分に吟味しています。遺残性亜脱臼や臼蓋形成不全に対しては、将来の変形性股関節症を防ぐ目的で骨盤骨切り術(図2)が行われます。その手術適応に関してもMRIによる軟骨性臼蓋(図3)に着目し、良好な軟骨性臼蓋が認められる症例に関しては成長終了まで見守りながら治療に当たっています。
2.ペルテス病
ペルテス病は小児期に生じる大腿骨頭壊死ですが、自己修復能を持つことが大人と異なる点です。X線により、初期、分裂期、修復期、残余期に分類され、発症から4-5年の経過をたどり修復されます。しかし、放置すると修復後も骨頭変形や臼蓋形成不全を生じることがあるため治療を必要とします。大腿骨頭が正常な球形に修復されるためには、装具により股関節を外転位に保持し、臼蓋を鋳型として大腿骨頭をその鋳型のなかに保つ(containment)ことが重要となります。当院では、自己修復能に期待して、保存療法である装具療法とリハビリを主体に治療を行っています。
3.小児の運動機能障害、スポーツ障害
現在の児童を取り巻く環境は、学童期の体力低下、生活習慣の乱れ、栄養のかたよりなどによる小児の運動機能低下と、限られた運動への集中による運動器への負荷の増加に伴い運動器発育を障害する可能性が高いものとなっています。筑波大学では2008年より、発育期という大事な時期に発生する運動器障害に対するメデイカルチェック(運動器検診)をつくば市内の小学校で行っています。軽度な運動器障害の所見のある児童は30-40%に及びます。この中で、実際に病院受診が必要になるのは全児童の5-10%ですが、さらに治療や定期的な経過観察が必要となる児童は1%程度です。しかし、こうした重症な運動器障害を抱えた小中学生を見落としなく学校健診を行うために、独自の運動器検診問診票(図4)を作成し、その精度を検討しています。小児期の病態が生涯の健康状態に影響を及ぼす可能性もあるため、運動器疾患の早期発見、早期治療が重要であり現在も本プロジェクトを継続しています。
4. 小中学生運動器検診 小児整形外科グループでの取り組みについて
筑波大学小児整形外科グループでは、2008年よりつくば市内お
【連絡先:筑波大学整形外科 鎌田浩史
029-853-3219:hkamada@md.tsukub
☆新型コロナ禍における運動器検診 (2020.6.16)
2020年、新型コロナ感染拡大に伴う児童・生徒の運動器の健康
・運動器問診票等で子どもの運動器をしっかりとチェックすること
・運動器に異常を感じた場合は、学校医、整形外科医等に相談を
・自宅待機が長くなっため、運動不足に対する対策を等が主な注意点となります。
子どもたちを守る取り組みとして下記サイトを是非ご参照ください
スポーツ庁 運動不足に対する対策
https://www.mext.go.jp/sports/
運動器検診事後措置への協力病院・医院リスト
https://www.joa.or.jp/public/m